クリスマスイブの話
4歳のころの僕はやたら好戦的で、剣や銃といったおもちゃばかり集めており、『蒲田の武器商人KEN』と呼ばれていた。
当然、仮面ライダーやウルトラマンといった特撮ヒーローも大好きで、中でも、当時放送されていた『恐竜戦隊ジュウレンジャー』に登場する6人目の戦士・ドラゴンレンジャーが大のお気に入りで、彼が操る専用武器「獣奏剣(じゅうそうけん)」が欲しくてたまらなかった。
12/24、クリスマスイブ。サンタの存在を信じる純粋な僕は、枕元に大きな靴下を置き、そこに獣奏剣が入るのを持った。12月に入ってからの僕はと言うと、毎日「獣奏剣が欲しい」「獣奏剣が欲しい」「もうここで終わってもいいから」「あいつを倒すチカラが欲しい」とサンタにお祈りをしていた。
こうしてあどけない4歳児は、「斬撃を飛ばしてやる!」とか、「ドラゴンシーザー(専用ロボ)を呼び出してやる!」とか、いろんな想像をしながら、いつの間にか眠りについていたのであった。
翌朝、目を覚ました僕は、靴下の中に何かがはいっていることに気づく。が、獣奏剣にしては箱がやけに小さい。
取り出してみると出てきたのは、
「シ ル バ ニ ア フ ァ ミ リ ー
ふ た ご の シ マ リ ス の 赤 ち ゃ ん」
シ ル バ ニ ア フ ァ ミ リ ー ! !
ふ た ご の シ マ リ ス の 赤 ち ゃ ん ! !
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父が会社でもらってきたらしいです。
こうして僕は4歳にしてこの世にサンタクロースというボーナスタイムはないことを知り、サンタの存在を信じている同級生を慈しみの目で見る嫌な子供に育つのでした。
ちなみに赤ちゃんリスたちは、着てるロンパースがボロボロになってランボーみたいになるまで戦わせて遊びました。
あと、獣奏剣もその後なんやかんや手に入って30年くらい大事に使ってましたが、最近息子に折られました。
よいクリスマスを。